翻訳出版書

「ミドル・パッセージ」

―生きる意味の再発見―

ミドル・パッセージ―生きる意味の再発見

分析心理ドットコム

サイトの名前は、ユングの思想や理論が、他の精神分析の理論と区別して、とくに「分析心理学(Analytical psychology)」といわれることにちなんでいます。

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この項目の冒頭にも書きましたが、2004年の秋、スイス・チューリヒのユング研究所はふたつになりました。

幹部の運営方針に不満と不審をもっていた多くの所属分析家が、幹部との交渉をあきらめて、ついに新しい研究所を作ってしまったのです。この分裂騒動に伴って、多くの人気・看板講師(兼分析家)が、新しい研究所に移ったので、彼らの指導を受けていた、英語(インターナショナル)コースに所属する学生の大部分も、新しい研究所に移籍することになりました。

2004年にオープンした新研究所ISAPは、チューリヒ市内の住宅街にあり、おとぎ話の絵のような旧研究所の建物にはおよびもつかない、まったく目立たない建物ですが、英語での講義やセミナーのプログラムに関しては、旧研究所よりも充実したものになって、あっという間に旧研究所をしのぐ中心的機関になりました。(ドイツ語のプログラムは除く。)

以下は、2005年6月に、わたしがこの記事を公開したときの内容の一部です。

しかし、新研究所は、まだ図書館などが整備されていませんから、移籍した学生も図書館を利用するために旧研究所との間を行ったり来たりしているような状況です。

ISAPの発足は、とりあえず「暫定的に」ということではありますが、将来、騒ぎが治まってまたひとつになるのか、あるいはこのままふたつでいくのか、今のところは先が見えません。

2012年現在、ふたつの研究所はふたつのままです。

ところで、現地では、当時、文字通りの「騒ぎ」になり、裁判沙汰にもなったこの「分裂騒動」、日本ではほとんど知られていません。
英語圏では、インターネットを通じても、誰がこう言ってこうなったと、かなり詳しいいきさつが情報として知れ渡りましたし、スイスの大御所の分析家たちも、これを「ユング研究所の醜態」として、分析家たちの影の問題とからめて講義中にとりあげたりしたのです。

それなのに、日本では騒ぎどころか、表向きには、誰も何も言いませんでした。

日本で多少なりとも知名度のある「ユング研究所」の、重要なニュースですから、日本に知りたい人もいるだろうと思ったわたしは、心理学関係の某雑誌に、この内容を掲載する機会を与えられたのですが・・・。

その記事は、掲載には至りませんでした。
日本のユング研究所からストップがかかったのです。
この話題自体が、あえて公表されるべきではない、とのことでした。
「身内の恥はさらすな」ということなのでしょう。

しかし、当然、日本の関係者は実情は把握していますから、ISAPができてからは、日本のユング研究所からは、あたりまえのように、ISAPへ研究生が送り込まれてくる一方で、日本のユング研究所に所属していない日本人が、ISAPの存在すら知らないまま、旧研究所の公開セミナーにやってくるのを見るのは、ヘンな感じがしてしまいました。

わたしから見ると、この分裂は、今さら隠すこともない周知の事実だったのですが、それから数年後、日本人の集まる公の場で、軽く「分裂」ということばを使ったときも、いっしょにあの「泥沼劇」を体験した日本人同僚に、そのことばを“訂正”され、遠まわしにたしなめられるということがありました。「分裂」としかいいようのないいきさつだったと思えるのですが、禁句だったようです。

今もこれを書いていて、少し緊張してきました。(笑)
2012年1月、記